アクティブ・ラーニングで気を付けること

 

こんにちは! All関西教育フェスタの優努です。

今回は大学で「アクティブ・ラーニング」について話しあう機会があったので、その内容をまとめてみようと思います。

「アクティブ・ラーニングってなんぞや??」という方もいらっしゃるかもしれないので、その概要を毎度おなじみ文科省HPの中央教育審議会「答申」から引っ張ってきましょう。

 

中央教育審議会 答申 H24 8/24 「用語集」より

  教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称

 学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、 教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査 学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク 等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

 

つまり、これまでの教師からの一方行的な講義型授業をやめて、生徒が自分から進んで(能動的に)学ぶ授業方法を取りなさいよってことですね。

ところが、よくある疑問にも「小学校とか、今まで結構やってませんでした?」というものがあります。
それはその通りで小学校、中学校ではグループ・ディスカッションやディベートをよく取り入れていますよね。

文部科学省のHPをもう一度見てみましょう
文部科学省ホームページ
ここにはアクティブ・ラーニングは高大接続(アクティブ・ラーニング)となっています。

文部科学省の意向では、アクティブ・ラーニングは小中よりも高校と大学に取り組んでもらいたい内容らしいですね。
大学受験を視野に入れた高校の授業は、大量の知識を先生から詰め込む方が効率がいいと思われているのか、なかなか生徒自身が「考える」という時間もなさそうなのでしょうか。

この点は「なんとしても高偏差値大学に!」という学歴社会に焦らされている昨今では、先生、保護者ともに「仕方がない」と考えているようです。

しかし同時に、現在はグローバル化も騒がれています。今や生徒は、ただ知識がある、テストの点数が高いだけではなく、プレゼンテーション能力やリーダーシップ、コミュニケーション能力などの「開かれた社会性」を身に着けることも強いられています。

学校では先生から知識を詰め込まれ、受動的にならざるをえない一方で、社会では能動性を求められる。矛盾しているわけではないが、板挟みである。

そんな中でアクティブ・ラーニングを表面的な「方法論」「メソッド」として取り入れると、様々な課題が浮かび上がります。

 

☆結局は「正解」まで誘導?
 ➡日本は「正解」を前提とした教科教育であり、授業方法が変わるだけで、あくまで自由に学ぶわけではない。
 ➡「押し付けの自由」「受動的能動」

 「自由とは」という大きな話もありますが、学んだことを社会で扱う方法を知らないまま学ぶと、そもそも勉強に意義を見出しにくいのではないかと思います。

 ☆「能動性」は自由と信頼の下に育まれる
 ➡「自由」があるから自分の学び、現状に責任を持つ。
 ➡「信頼」があるから能動的に挑戦できる(失敗を恐れない)

生徒同士、クラス内に「失敗してもいい」「この場なら安心して話せる」といった信頼関係が育まれていないと、能動的に話し合うことは難しいです。

 

「学び会い」「教え合い」の同調圧力
 ➡「全員がわかること」という目標は、教えあうことを強制する?

上記のクラスの信頼関係が構築できていないと、そもそも「教わること」「教えること」「協力すること」をストレスに感じる生徒が多く出てきます。それがアクティブ・ラーニングの失敗にも繋がると思われます。

 

いかにしディープラーニングへ持ち込むか
生涯心に残る「深い学び」を生み出せるか
➡ここに力を入れているかでいわゆる「生きる力」に差が出る?

アクティブ・ラーニングはその周囲のメンバーを含む教育環境が重要になってきます。そもそも授業にならないというクラス、学校もあるなかで、アクティブ・ラーニングにどれだけ力を入れるのか、学んだことを教訓とできる考え方がどれだけ身につくかで、教育格差がより大きく広がるという可能性もあります。

元来、教育は格差を取り払うものであるとされています。
このままアクティブ・ラーニングの課題をよく考えずに、表面的な方法論として導入すると、格差がますます広がる可能性もあります。

アクティブ・ラーニングはどこが得をして、どんなビジョンを持っているのか。

今後もオルタナティブな教育から目が離せませんね。

アクティブ・ラーニングについてもっと詳しいことを知りたいという方は、是非ともAll教育フェスタのイベントに参加してくださいね!!

 

優努でした。

 

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